打撲と甘くみてはいけません コンパートメント症候群
コンパートメント症候群というのをご存じでしょうか?
コンパートメント症候群とは、下腿や前腕を骨折・打撲・肉離れなどの怪我で負傷した後、患部やその周辺部が非常に腫れることで神経を圧迫し手足がしびれたり痛くなったり、手足の血行が阻害される病態の事で主な症状には圧痛・腫脹・運動障害・感覚障害などがあります。
コンパートメントというものを簡単にご説明いたしますとコンパートメントとは「区画」という意味になります。
下の図のように下腿部を輪切りにしてみると二本の骨、筋膜、骨間膜、筋間中隔などに囲まれた4つの区画=コンパートメントに分かれています。
- 前脛骨筋、長母趾伸筋、長趾伸筋からなる前方区画
- 長腓骨筋、短腓骨筋からなる外側区画
- 腓腹筋、ヒラメ筋からなる後方浅区画
- 後脛骨筋、長母趾屈筋、長趾屈筋からなる後方深区画
この中には血管や神経も走行しており、この区画内の圧が上がる事で走行している血管や神経を圧迫して痛みや腫れを起こします。
コンパートメント症候群は急性と慢性とに分けられます。
ひとつはスポーツや立ち仕事などが原因となる慢性コンパートメント症候群。
もうひとつが交通事故やスポーツなどで骨折や打撲などの大きい外力によって発生する外傷が原因の内出血が引き金となって起こる急性コンパートメント症候群です。
慢性コンパートメント症候群のケースとして柔道をやっている方が脛の痛みを訴える事があります。
これは練習などで足の払いや受け身などで受けてきた衝撃が蓄積され下腿内部で腫れた状態が続いた事でコンパートメント症候群を起こした可能性があります。
また、横向きで腕を体の下にしている状態でお休みになられる習慣のある方は腕に圧がかかり続けたことでコンパートメント症候群になってしまったという話もあります。

私事ですが趣味のジョギングで突然痛みが出たこともあります。これは運動量が増えたことで筋肉量が増えそれに対して区画が拡大できなかったことで発症したと考えられます。
運動中や運動後に痛みや腫れが出た場合には、運動は一旦中止しアイシングをして安静状態を保つようにします。
痛みが出ている間のケアとしてはストレッチが効果的です。
治療としては筋肉の緊張状態を緩める必要があるため、手技療法や電気療法を用いて処置を行う事が出来ます。
交通事故やスポーツなどで骨折や打撲などの負傷をすると内出血が起こりそれが原因で発症するものが急性コンパートメント症候群ですが、特に打撲の場合には痛みはあるもののこれくらいならシップでも貼っておけば大丈夫と放置される方も多いと聞きます。
特に交通事故では事故後、体が興奮状態にあるため痛みや違和感が遅れてでてくることがあります。そのため負傷後24~48時間は運動障害や感覚障害が起きる場合があるので特に注意が必要で、迅速な処置が重要とされています。

のちに取り返しのつかない障害が残る場合もあるため負傷部の異変にはしっかりと経過観察をするようにしなければいけません。
残念ながらこのような急性症状の場合、接骨院・整骨院では治療ができないため整形外科などで筋膜切開などの処置が必要となります。

たかが打撲と侮らず、少しでも異常を感じたならば躊躇せず専門の医療機関で受診するようにしましょう。