四・五十肩にワンインチパンチ
みなさんはブルース・リーをご存知でしょうか?
香港が生んだハリウッドスター。代表作は「燃えよドラゴン」「死亡遊戯」があります。
『Don’t think, feel.』(考えるな、感じろ)
「燃えよドラゴン」の中の名ゼリフですが、映画は観たことがなくとも、このセリフは聞いたことがあるという方は多いのではないでしょうか。
実はこのセリフには続きがありまして『考えるな、感じろ。それは月を指差すようなもの。指を見ていては、栄光は掴めないぞ』(手段にこだわるな、その先のゴールには辿り着かないぞ)深い言葉ですね。当時、小学生だった私にはチンプンカンプンで、とりあえず、感じるままに納得していました。
もう一つ、ブルース・リーを語るうえで欠かせないのが「ワンインチパンチ」。およそ2.5㎝しか相手と離れていないところから打つ強力なパンチです。
武術家としても有名だったブルース・リーがデモンストレーションでよく披露していたようです。ご興味がある方は “ブルース・リー ワンインチパンチ” で調べてみてください。
さて、このワンインチパンチを私なりに分析すると、足で地面を蹴った力が体幹へと伝わり、そこから肩甲骨、肩、肘、拳と、タイミングよく、効率的に体の部位が動いてくることによって、もの凄いパワーのパンチが打てるのではないかと考えます。
そして、重要なのが肩甲骨の動き。実は、この肩甲骨の動き、ここ数年前からボクシング、野球、陸上など様々なスポーツ競技で注目されています。
打つ、投げる、腕を振って走るなどの動作の時、一見、腕を強く早く動かしているように見えますが、腕だけでは可動域が狭く、強く早く動かすことができません。この腕と関節を成す肩甲骨が一緒に動くことで、可動域が広く使え、強く早く動かすことができます。
さて、この肩甲骨の動き、何もスポーツの世界だけで重要な分けではありません。
私たちの日常生活でも大変に重要な役割を果たしています。
“棚の上の物を取る、洗濯物を干す、服を着替える、吊革につかまる” などの主に腕を挙げる、捻る動作の時に、肩甲骨が常に一緒に動いています。
この肩甲骨の動きがないと、肩の関節を構成するローテーターカフ(回旋筋腱板)が骨とぶつかり、炎症が起きやすくなります。

これが、四十肩、五十肩になる大きな要因の一つです。
近年、私たちの生活は、スマホ、PC、デスクワークなどの腕のみを動かす作業が多く、肩甲骨を動かす機会が減ってきています。筋肉は動かさなければ、筋の出力が減り、衰え、柔軟性が無くなります。
そこで今回は、四十肩、五十肩の予防、改善の為に、肩甲骨のエクササイズ『立甲』を紹介していきます。
肩甲骨エクササイズ
☆立甲 step1
- 床に四つ這いになります
- 脇を軽く締めたまま床を押すようにして、背中を上に丸めます
- 脇を締めたまま、肘を曲げずに背中を下げていき、肩を後ろに突き出します(point:脇を締めていること)
そのまま10秒間キープ
- ~③を3回ほど繰り返しましょう。
①
②
③
肩を後ろに突き出した時の肩甲骨の形(肩甲骨が立って、後ろに突き出る)
☆立甲 step2
- 椅子に座り、背筋を伸ばします
- 両腕を前に伸ばし、脇を締めます
- 肩甲骨を前に出すように腕を伸ばしていきます
- 脇を締めて肘を伸ばしたまま、肩甲骨を後ろに引いていきます(point:肩をすくめないように)
そのまま10秒キープ
- ~④を3回ほど繰り返しましょう
①
②
③
④
これをマスターすれば、あなたもワンインチパンチが打てるかも⁈