日常でのプチ修行のススメ
2020年冬以来、日本もコロナ禍に陥り、今だ心休まらぬ日常がつづいております。
それに追い打ちをかけるかの如く、耳を塞ぎたくなるようなニュースが、しばしば聞こえてきます。
そんな中でも、今回は日々の暮らしを少しでも前向きに穏やかに過ごせる様になる、私が今はまっている禅の考え方を幾つかご紹介させていただこうと思います。
朝、清風を呼び込む
朝、起床した時に部屋の窓をすべて開け放ちます。(勿論、寒い時期でしたら、無理をせずその時の体調にあわせて)
禅宗には「清風」という言葉があります。
心を洗うような清々しい風のことです。
朝の外気は、この清風そのもの。
大きく深呼吸して、外の新鮮な空気を胸いっぱい吸い込みましょう。
清風は雑念や煩悩を吹き飛ばしてくれるそうです。
晴れたお天気でしたら太陽の光を浴びて、思いきり伸びをしたり、軽くストレッチをするのもよいでしょう。
心と身体は密接に関わりあっており、フレッシュな空気を取り込み、適度に体を動かすことで、快適に一日のスタートを切るための準備ができます。
そして、この時間は、移り変わる四季の変化を体で感じる事のできる素晴らしい時間。また、毎朝、外の空気を体いっぱいに取り込む習慣をつけると、その日の体調や心の状態も敏感に感じ取れるようになります。
部屋の中のよどんだ空気が入れ替わったら、体もはっきり目覚めて、その日一日、無理せず慌てず、スタートを切れるようになっていきます。
靴をそろえる
お寺の玄関先に「看脚下」と書かれてあるのを見たことはありませんか?私は昔、法事に行った時に、目にしたことがあります。これは、「足元をよく見なさい」そして「脱いだ靴をきちんと揃えましょう」という意味です。
この言葉にはもうひとつ大切なメッセージがあります。
履物が揃えられない人は、自分の心も整えられません。
心が過去や未来に飛んでいて「今ここ」にないということです。
たかが靴の脱ぎ方くらいでと思いますが、脱いだ靴が曲がっていても気にならない人は、他の物が曲がっていても気にならないということ。
つまり、それだけ感性が鈍っている、心が乱れているということです。履物を揃える。そんな小さなことに、その人の「人となり」が表れます。
もし、あなたの家の玄関の靴が揃っていないようでしたら、さっそく玄関で靴を脱いだら、必ずその時に揃える習慣をつけましょう。
そして、意識せずにできるようになれば、更に自分の靴だけでなく、隣の靴の乱れも一緒にサッと揃えるようになる。
そこまでできれば、本物です。
このような小さな習慣が玄関だけでなく、生き方全体を美しくするとの事。まずは足元から見直してみる。もっとも簡単で、かつ大事な事ですね。
参考文献 片づける禅の作法 枡野俊明 著